1973年にコーエンとボイヤーが発表した遺伝子組換え技術の発展により、抗体医薬と蛋白医薬が世界の医薬品売上の60%を占めるようになってきた。最近では、核酸医薬、再生医療及び遺伝子治療の製品が上市されるようになり、モダリティの選択肢の幅がさらに広がっている。本書では、最新の医療モダリティに焦点をあて、蛋白医薬、ウイルス医薬、遺伝子治療、新しいタイプの抗体医薬、組換えキメラT細胞、再生医療製品、分子診断薬について、最新の報告をもとにまとめてみた。モダリティが広がるにつれて、創薬のターゲットもより深く掘り下げられるようになっている。今後ますます、好奇心を掻き立てるようなテーマが次々と現れてくるであろうが、本書はまずその手始めのものととらえていただきたい。
本書において、IGF-Iとパスビジョンについては、著者自身が製薬企業に勤務していた時に、研究開発、臨床開発及び薬事を担当した。また、インベーダー法によるUGT1A1のSNP検査は、IVD(体外診断薬と医療機器)企業に在籍していた時に関わってきた仕事である。これらについては、記述内容に多少の思い入れがあることをご理解していただきたい。