本書は,全経簿記 2 級の工業簿記のワークブックとして,全経簿記 3 級の基礎を終えて,基本的な簿記原理の知識を修得 した方を対象に,複式簿記の原理の応用をその仕組みから平易に解説し,確実に体系的理解ができるように工夫して執筆し たものである。
簿記原理の仕組みを理解するにあたって,簿記知識の修得が必要と思われるが,簿記原理の応用的仕組みを着実に理解し, 応用を確実に学ぶことにより,全経簿記 2 級(工業簿記)の体系的理解が進むと思われる。
そのために,本書では,全経簿記 2 級(工業簿記)を平易にわかりやすく説明し,読者が複式簿記のその仕組みを理解し 順次進むことができるように工夫している。
複式簿記は,筆者の考えでは,一般意味論と深い関係があると思われる。諸経済事象を複式簿記で処理する(仕訳・転記 など)過程において,多くの特性が捨象されていくのである。そこで,複式簿記では,小書き,摘要,注記,補助簿などで, 失われた特性を補っているのである。筆者が執筆している,一般意味論から読み解く簿記原理の応用編の著書も合わせて学 習されると,より複式簿記原理の応用を理解することが容易になることであろう。
本書は,簿記検定試験では,全経簿記 2 級レベルの工業簿記の内容で構成されている。昨今,簿記検定試験の試験範囲は大幅に変更され,工 業簿記が全経2級の試験として創設された,かように,本書は,全経簿記検定2級(工業簿記)の試験対策として用いるのに有益であると思われる。 本書により,読者諸兄が簿記原理に関心をもち,その体系的理解と実力養成に役立てれば,筆者の望外の喜びである。