本書は,農業簿記の基本の専門書として,農業簿記をはじめて学習する方を対象に,農業簿記の基本的原理をその仕組みから平易に解説し,確実に体系的理解ができるように工夫して執筆したものである。
農業簿記の仕組みを理解するにあたって,農業簿記に関する専門知識の修得が必要と思われるが,本書を通じて農業簿記の基本的仕組みを着実に理解し,その基礎を学ぶことにより,農業簿記の体系的理解が進むと思われる。
そのために,本書では,農業簿記の基本原理を平易にわかりやすく説明し,読者が農業簿記の基礎を理解できるように工夫している。
農業簿記は,筆者の考えでは,一般意味論と深い関係があると思われる。諸経済事象を複式簿記で処理する(仕訳・転記など)過程において,多くの特性が捨象されていくのである。そこで,複式簿記では,小書き,摘要,注記,補助簿などで,失われた特性を補っているのである。筆者が執筆している,一般意味論から読み解く簿記原理の著書も合わせて学習されると,より農業簿記の基本的原理を理解することが容易になることであろう。
本書により,読者諸兄が簿記に関心をもち,その体系的理解と実力養成に役立てれば,筆者の望外の喜びである。