状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2023年06月20日 1年以内 |
ページ数 | PDF:86ページ |
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2021年10月、私は、新型コロナに感染した患者を搬送する業務委託の仕事を見つけて応募し、その仕事に就いた。勤務先は、とある県庁内。仕事の名称としては、「患者搬送」である。時期的には、感染が拡大した第5波(2021年7~9月)が終わった頃。
そのため当初、搬送現場は落ち着いた状況だった。丸一日待機するだけの日々を過ごした。だが年が明けた第6波(2022年1~6月)、それに続く第7波(同7~9月)に遭遇し、多くの感染者を乗せて走り回った。搬送件数にすると延べ700件を超える。
感染者を搬送する車両は、感染対策が施された特装車。その車両に感染者を乗せ、隔離する目的で療養施設に搬送する。
私自身、感染すると重症化率の高いとされる高齢者の部類に入る。それなのに何故、そんなリスクの高い仕事を選んだのか、と当初は周囲の人たちから呆れられた。
そんな危険とされる現場に、私と同じ年代の定年退職者が多くいたのも興味深い。年金受給前や、私のように年金だけでは食っていけない者、あるいは家にいても退屈だからなど、応募理由はそれぞれ。一方、同時に応募した若い彼ら(20~50歳代)についても同じ。コロナ禍で仕事量が激減した観光バス運転手やタクシー運転手、飲食店関係者、そのほか就活中など、事情はいろいろ。
感染リスクについては当然、みんなが気にした。それより、私を含めてだが、ほかに行き場のない人たちが生きるためにそこにいた。
そこでいくつかのトラブルが発生する。思いもかけないようなことが起こる。
生きるためにそこにいた |
はじめに |
業務委託で日当一万円 |
甚だ疑問に思った |
振込手数料六六〇円は自己負担 |
「ああ、発熱していますね」 |
一日二食効果?で陰性に |
濃厚接触者が発熱してもコロナとは限らないの? |
いま運転席の窓を開けると我々も感染する恐れがある |
「後部座席には絶対に触れないよう」 |
密室状態のエレベーター内で感染者乗りこみ固まる |
重症者であっても高齢者であっても介助は不可 |
アイドリング状態で一日待機 |
早く帰りたかった |
言うことを聞けないなら辞めろぉ~ |
搬送車の稼働状況一日八台前後が続く |
二日連続で搬送担当 |
テメェ、なめてんじゃねーぞ |
一日バカ話をして日当一万円 でも元は税金 |
N保健所 |
一二月からN保健所へ移動 |
B社と保健所には秘密にしてください |
「今日は出勤なしで大丈夫です」 |
搬送員の待機室は密状態だった |
搬送車内の消毒が突然中止に |
電話連絡してもN保健所に繋がらない |
「どこに連れて行くんですか?」 |
「私ひとりなんです。死んじゃいます」 |
何様のつもりなんだ |
パルス搬送員拘束されパトカー出動 |
誰が警察を呼んだんだ |
生卵と酒瓶と無言電話 |
やるべき仕事は完璧にこなしていた |
すべてスクリーンショットに収めた |
カラタケさんの判断に任せます |
事前に聞いていた |
A社が二度目の落札 |
俺たちの仕事を取るのかと詰め寄られた⁉ |
生卵と酒瓶と無言電話 |
ピンポンダッシュ |
執着心に寒気を覚える |
私物を取りに出勤 |
搬送員二人がコロナに感染 |
患者に何度か手を貸したことがある |
一か月の出勤停止 |
PCR検査の指示なし |
二〇二二年七月が第7波のピーク |
でも腹が減っていた |
「三月末で終了のつもりでいてください」 |
B社が再度落札し日当九五〇〇円に |
A社の社長に直訴の手紙 |
仕事を失いたくなかった |
五月八日から5類に |
あとがき |
患者搬送の仕事を終えて |