アイシュタインの一般相対性理論が誕生するまでは、電磁波を伝搬させる媒体としてエーテルの存在が信じられていた。しかし、マイケルソン・モーリーの実験をはじめ、エーテルを検出しようとするあらゆる試みは失敗におわっていた。試算によれば、宇宙に満ちているエーテルの中を地球は時速 Km以上の高速で移動しているはずであり、地上に設置した実験システムにはエーテルの風が吹いているはずであった。それらの結果を踏まえ、一般相対性理論がエーテルを必要としない理論であったが故に、以後の物理学においては、エーテルは古典的概念として顧みられなくなった。
しかし、エーテルの存在は完全に否定されたものではく、存在し得る可能性は残されていた。
1998年、宇宙の加速膨張の発見によって暗黒エネルギーの存在が検証された。暗黒エネルギーは宇宙物理学をはじめ、理論物理学のあらゆる分野にわたる最大の謎とされ、各国に巨大な研究施設が建設されて、その謎の解決は主要な研究課題となっている。
それは、宇宙の真空空間を満し、互いに反発力を作用させている希薄なエネルギーであると推測されているが、その正体はまったく不明である。宇宙空間は暗黒エネルギー(73%)、暗黒物質(23%)、物質(4%)で構成されていると観測されている。候補とされた種々の素粒子は全て否定され、最先端の超弦理論も含めて、既存の物理理論では解明への見通しすら得られていない。
既存の物理法則だけを使ってダークエネルギーを説明することは困難だと
言われています。ダークエネルギーの存在とその正体を理論的に説明しょうとすれば、まだ実験的に確かめられていない原理なり法則なりを持つ理論を用いるしかありません。
素粒子脈動原理がその難問に挑戦した。
一般相対性理論の重力方程式と量子論の基本方程式であるシュレーディンガー方程式とを統合した究極の統一場理論を構築した。素粒子脈動原理からの帰結として得られた。「脈動する場のエネルギー総和はゼロ」の指導原理により、シュレーディンガー方程式のエネルギー総和もゼロとなる。重力方程式の宇宙定数の項をトータルエネルギーゼロのシュレーディンガー方程式と置き換えることで相対論と量子論を統合した統一場方程式を導いた。宇宙定数の観測値と計算値との誤差は 10 の 120 乗という天文学的誤差である。宇宙定数をゼロとし、シュレーディンガー方程式に係わる微細なエネルギー変動を残すことは現代物理学の最も重要な課題の一つとなっているが、素粒子脈動原理が導いた統一場方程式がその解となるかも知れない
筆者は1980年に、暗黒エネルギー(エネルギー大気)の存在を予言し、素粒子脈動原理の仮説と命名して、暗黒エネルギーの物理によって理論物理学における数々の謎に挑戦してきた。その結果は驚くべきものであり、万物の幾何学と言えるほど深淵で計り知れない可能性を秘めた仮説として、枚挙にいとまがないほどの数々の謎を解明している。本書の主題である万物の幾何学、万物の方程式への挑戦においても、発想を先導し、示唆を与え、画期的な仮説に導いた。
はじめに |
第1章 暗黒エネルギーは現代版エーテル |
[1] エーテルの概念と歴史 |
[2] エーテルの検出 |
[3] エーテルを不要にした相対性理論 |
[4] エーテル不在の量子力学 |
[5] 暗黒エネルギーは現代版エーテル |
第2章 暗黒エネルギーの謎を解く。 |
[1] 1998年宇宙の加速膨張によって発見された暗黒エネルギー |
[2] 素粒子脈動原理と暗黒エネルギー。 |
[3] アインシュタインが探し続けた4次元空間 |
[4] 暗黒エネルギーの有力候補を提示 |
[5] 脈動する光子は暗黒物質の完璧な候補。 |
[6] 暗黒エネルギーの脈動による素粒子質量の発生機構 |
[7] 暗黒エネルギーの脈動は超対称性を現す |
[8] ダークエネルギーと宇宙定数 |
第3章 素粒子脈動原理 |
[1]素粒子脈動原理の基礎概念 |
[2] 「素粒子脈動原理」の仮説。 |
おわりに |
出典・参考資料 |
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著者略歴 |