状態 | 完成 |
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最終更新日 | 2021年12月19日 |
ページ数 | PDF:500ページ |
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小説の概要は、……
ベトナム在住の≪わたし≫は十六歳の少年に出会う。
彼は売春をしていて、その名前も素性も知れない。
だから≪わたし≫は彼を沙羅と名づけた。
ふたりに共通言語はなにもない。
その奇妙な共同生活。
そしていつか想起されて行く≪流沙≫ルーシャと呼ばれた美貌の天才音楽家との日々。
≪わたし≫はかつて≪流沙≫の代作者だったのだ。
そんな時、知り合いの女から≪流波≫と呼ばれる天才少女画家を紹介される。
彼女には知能障害があり、且つ目も見えず耳も見えないにも関わらず、誰をも魅了してやまない純白の絵を描くというのだ。
彼女に逢う爲にそのアトリエを訪ねた≪わたし≫が見たものは…
29の詩と散文からなる作品。
般若經・中論・唯識論をベースにしたものです。
詩は、詩の本編と、及び二声・四声の詩に依りなっています。
流波伽他 |
十四偈の伽多 |
四聲の伽多 |
//ブーゲンビリア/花、色葉、あふれ/散乱し、それら/色彩のかおり |
//ゆらぐ。何?/陽炎。それら/色彩ら/色などもはや |
//見ていたのは、沙羅/何?沙羅/その綺羅/眼差しに綺羅ら |
//そのほほ笑みに/沙羅。もてあそぶ/白濁を。ひとり/匂いの停滞 |
//ただ匂いたつ/昏い目に沙羅は/赤裸々に臭気/惡臭のけもの |
//褐色の/あざやかに色づく/それは沙羅、その/色彩に名づけた |
//それは陽炎/陽炎、沙羅/綺羅と綺羅/あわい散乱 |
//捨てられた/すでに/言葉など、沙羅/屍 |
//燃えた/沙羅、綺羅/綺羅ら/海は |
//見たもの。沙羅/あなたが/それは/海。…沙羅 |
//あなたは見ていた/沙羅/その目/昏く、ただ狂暴な |
//すべて生きられた/すでに/すべて/なにもかも |
//もうすぐ空は/沙羅/破れるだろう/明日には、ほら |
//沙羅。ほほ笑み/ブーゲンビリアの/花の翳りに/沙羅、その |
//化ものら/沙羅、それは/それは、沙羅/だから怪物ら |
//さらさらと沙羅/色彩のはじく/さらさらと/響き |
//何故、沙羅/沙羅、何故/あなたはその/光の中に |
//ふりそそぐ/沙羅、その肌/あざやかに/照らし出し |
//憩いなの?/沙羅、それは/陽だまりの蛇、その/停滞 |
//あざやかな?…何が?/沙羅、その色彩/沙羅、それ/震えて |
//散る。沙羅/だから沙羅/見る。沙羅/その翳りの群れ |
//匂う?/沙羅、匂い/匂う?/その匂い |
//散華、ほら/散る。沙羅/飛び散り/沙羅。ほら |
//散乱/沙羅、庭/散乱/その乱れはいま |
//雨だよ/沙羅、ほら/それら/雨 |
//貪るものら/噉らう/貪り噉らうものら/噉らい |
//沙羅は笑った/笑った/ひとりで/だから癡呆 |
//沙羅。死ななかった/だれも/すでに/もはや |
//目をあけて/沙羅。その/きれいな/綺羅ら。その虹彩 |
//褐色の/あざやかに色づく/それは沙羅、その/色彩に名づけた |
//世界はやさしい/みんなにやさしい/化ものたち/前例もない |
//ブーゲンビリア/花、色葉、あふれ/散乱し、それら/色彩のかおり |
奥書 |