――さて、人には時として語らなければならない経験が、ある。
私の場合、とある煩熱の鬱屈の内に在った、十一日間の経験が、それであった。しかし、余りにも面妖で、勿怪じみて……兎も角、語るに躊躇うような、その様な経験なのだ。だが、語らない訳には、いかないだろう。
……私には、十一日間のみ、幽霊が見えた。
これは、十一日の間だけ幽霊を見ることが出来た、そんな男の記録である。
序句 |
一日目 |
二日目 |
三日目 |
四日目 |
熱と時間 |
五日目 |
六日目 |
七日目 |
幽霊とは何か |
八日目 |
九日目 |
幽霊の存在論 |
十日目 |
十一日目 |
結句 |
注意 |