さて、当時、十六歳であった主人公は、モスクワの両親のもとに住んでいたが、その両親の借り入れた別荘へと家族で移ることになる。それから三週間後には、今度は、隣りの空き家の離家(はなれ)に「公爵(こうしやく)夫人とその令嬢」が引っ越して来るのであった。主人公は、その令嬢（ジナイーダ）を一目見た時から、まさに「一目惚れ」に深く落ち入ってしまい、それは日増しにますます令嬢（ジナイーダ）に心惹(ひ)かれて行くのであった。ある時、「……今夜、八時に家にいらっしゃいよ」と誘われて行くと、令嬢の居間(いま)では、令嬢を中心とした常連の五人が集まっては、夜ごと賭け遊びなどが行なわれ、主人公も加わって、楽しく過ごすようになるのである。やがて、令嬢（ジナイーダ）は深く悩み苦しむような姿を見せるようになり、主人公は深く心を痛めるのであるが、それが「恋に悩み苦しむもの」であることを知ると、「……相手は誰か？」とあれこれ空想を巡らすようになるという内容であり、興味や関心がありましたら、ぜひとも訪ねて見てください。（令和3年7月29日現在、配信して最新版）