特集 “ひきこもり”とその支援をみつめて社会のあり方を問う
“ひきこもり”は、海外でも「Hikikomori」と日本語で紹介されるなど、これまで日本特有の問題だと考えられてきました。しかし近年、ひきこもりは日本だけの問題ではなく、欧州や韓国などの先進国をはじめ、発展途上国でも社会問題になりつつあると言われています。
より視野を広げると、ひきこもりは社会的孤立のひとつの状態と捉えられます。二〇一八年にはイギリスで孤独担当大臣が新設されるなど、孤立・孤独が社会問題になっています。ひきこもりや社会的孤立が世界的に増えているという現実は、それだけ“生きにくい社会”が世界的に広がっているということではないでしょうか。
いまの日本のひきこもり支援は、就労自立が大きなキーワードになっています。もちろん、生きがいややりがいを感じ、ともに生きる仲間を得て、自らが望む生き方の糧となる就労であれば、それはひとつのゴールになり得ると思います。しかし、とくにひきこもり状態にある人たちがめざすべきとされる“就労”は、そうした位置づけになっているのでしょうか。
今号の特集では、ひきこもりの当事者と支援者にご参加いただき、ひきこもりを考える研究会を開催しました。“ひきこもり”の問題を考えるとき、その当事者や家族の支援と同時に、いまの教育のあり方、就労のあり方、社会のあり方についても考えざるを得ないことが浮き彫りになったと思います。(編集主任)