特集 地域からみた二〇二〇年
──地域づくりはつながりの積み重ね
いま、日本全国で「子ども食堂」が急速に増えています。二〇一六年には三一六か所だったのが、二〇一九年六月時点では三七〇〇か所と、三年間で一〇倍以上に増えています。近所付き合いがない、地域の人間関係が希薄化していると言われて久しいですが、そうしたなかでこれだけ急速に子ども食堂が広がっていることは、子ども食堂がこれからの「地域」のあり方を考えていくうえで、大きなカギになるということだと思います。
地域の人間関係が希薄になるなかで、自治会や子ども会、PTAなどの活動が困難になっていると言われています。いっぽうで、インターネットやSNSがこれだけ普及していることを見ると、子育て世代の方たちが単純に人とつながること自体を避けているわけではなさそうです。むしろ、遠くに住む友だちやなかまといつでも連絡が取りあえるからこそ、「地域」でつながることの意義が感じにくいのかもしれません。なんでも相談できる気の合う友だちも大切ですが、“いま”子どもに夕食を食べさせるのを手伝ってもらえたり、“今日”会って話ができる「近く」の関係も、かならず必要です。子ども食堂のひろがりは、それを必要としている人たちがたくさんいることをあらわしているのではないでしょうか。
少子高齢化がすすみ、共働き世帯が増えているいまの時代に合った「地域」のあり方があり、それを求めている人はたくさんいるのだと思います。(編集主任)