2011年の東日本大震災から既に7年の月日が過ぎました。
被災三県の中でも福島県だけが今も抱えている大きな問題があります。それが福島第一原発事故による放射能汚染です。
私は震災以降、被災地の支援活動は直接関わっていませんが、心理職として福島県に足繁く通っていました。福島県では毎日の天気予報で各地の放射線量を伝えています。撤去されることが決まりましたが、県内の至る所に線量計が置かれています。日本で福島県だけが放射能、低線量被曝とつき合い続けています。
福島に通うになってすぐに放射能についての本を読んで勉強するようになりました。無料で公開された『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』が最も勉強になった一冊でした。恥ずかしながらここで初めて低線量被曝というものを意識しました。私だけではありませんが、多くの人が原発事故以前は全く知らなかった低線量被曝というものについて知ったのでした。それまでは全く知らなかったベクレルやシーベルトといった単位についても、それなりに知識を得ました。
しかし、問題はこの後です。低線量被曝のリスクというものが心理的にどんな意味があるのかという部分の考察をしている人がいないことに気づきました。
この本はその低線量被曝の意味を考察し、どうしていくのが良かったかを考える構成になっています。
まず、そもそもの低線量被曝とは何かについて『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』を元に簡単に書いていき。低線量被曝のリスクとは何か。それは心理学的にどう評価すべきかという点を考えていきます。
次に、そういった心理学的な考察をふまえて、さらに福島はどうするべきだったかを考えていきます。
最後に、さらに踏み込んで福島の問題とは日本にとって何だったのか、なぜこうなってしまったのかを考察します。