北畠親房は、『神皇正統記』で何を語っていたのか。親房は、日本の歴史の中で一貫して変わらないものを、一連の天皇の系譜にみた。そして、天皇は無私の徳をもつべきであり、それが天皇統治の本質でなければならないと考えた。また、天皇は、宗教、文化ともに諸道を取り上げ、秩序ある政治を行なわねばならないと主張した。『神皇正統記』は帝王学の書だったのである。