《…君の肌の褐色の、向こうには降り続ける雪。》

夢の中に見出される現在・過去・未来。
転生を繰り返す記憶の彷徨。
ある美しい少年が体験する虐待と、思春期の刹那的で嗜虐的な心境風景。
そして時を隔てて帰郷したかつての少年が見出す故郷の風景とは？

…痛みを伴った、愛と憎しみに関する思考小説。

５連作の真ん中、かつて痛みを知った少年の時間を飛び交うモノローグです。

転生とギリシャ神話をモティーフに、生と死を見つめようとする連作の序曲的中篇。
ソフォクレス《コロヌスのオイディプス》を原案とする叙情的な中編小説。

思い切りエロティックで、限りもなく繊細で
どうしようもなく純で切なく、救いようもなく残酷で、にもかかわらず美しい。
そんな作品を目指しました。

連作《イ短調のプレリュード、モーリス・ラヴェル》第三話