暗闇のなかを二人の教師と、二十人の女子高校生と、一人のアメリカ兵が歩いていた。自転車が過ぎると、ロバート.スミスと肩を組んでいく誰かの長い髪が、白い手で撫でられているのが見えた。これが、修学旅行なのか? 右手の波音が高くなった。月も星もない闇夜だった。ーーー
これは、戦後、学制がかわり、新制高校第一期生として卒業していった女子高校生の、歴史からも、記憶からも封印されてしまった戦後史です。ちょっと滑稽で、ちょっと真面目腐った、美しく、聡明な彼女たちの受難の物語です。
面白い!! いとおしい!! また、逢いたい!! そんな読後の余韻を楽しんで下さい!! 人間存在を追及してきた、作家島さち子のミステリー、未発表の作品です