心を受け取った女 3


著: エンマ

心を受け取った女 3

著:エンマ
販売価格:550円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2018年10月18日
ページ数 PDF:63ページ
内容紹介

結城マリナの本葬は、火事から三週間後、喪主、黒川信哉で、音楽葬として盛大に行われた。マリナと交流のあった内外の音楽家や、黒川関係の経済人も多く、葬儀といっても何となく華やいだ空気が感じられた。正面、壁面一杯、赤い薔薇に囲まれて艶然と微笑む、巨大なマリナの肖像の下、オーケストラによるレクイエムが奏でられていた。やがて曲はジャズ調の軽快なテンポになった。雲野は喪主の近くに割り込んでいく。「社長は如何なさいました?」言葉を掛けられる度に「はあ、実は、アメリカで、交通事故にあいまして療養中です。社長の希望でいましばらく‥‥」とオームのように繰り返した。妻の葬儀に夫が姿を見せない不自然さは、参列者から、参列者に口々に囁かれ、葬儀を落ち着きなく揺さぶってしまう。心を受け取った女と肉体を盗んだ男は絡み合いながら、幸福でありたい未来に向かって急いでいくようです。