ある雪の降る日、女は生まれてはじめて、人に信頼され、運命を託されます。もう女を縛るものなどいない。怖がることはないのよ。今までが仮の生活、わたしはずっと不当な扱いを受けてきたんだ、償いとしてなら、こんな冒険どうってこともないわ。彼が、女の心の空洞をうめたのです。「あなたは、もう、独りぼっちじゃないよ！！そんな哀しい顔はしないで、さあ、これを持って、救急車の来る前に、ここから早く立ち去って下さい。僕の身元が誰にもしられないように‥‥」男の声は低くて、雪の降る音にかき消されそうです。どのくらい歩いたのでしょう、ふるふると雪飾りをつけた救急車がそばを通りすぎていきました。舗道をいくと、彼が歩調をあわせてきます。彼とわたしの、夢の生活がはじまったのです。白昼夢が現実のものとなれば、女はすぐに、それになじんでしまう。白昼夢に現実の手足が生えてしまったのよ。心を受け取った女は、肉体を盗んだ男と絡み合いながら、彼との愛をつらぬくために戦っていきます。あなたも、心を受け取ってみませんか！！