特集
農村医療のパイオニア、佐久総合病院の歴史といま
戦後日本は、地方自治を憲法で位置づけました。憲法第九二条、地方自治の基本原則。そして、住民自治と団体自治について、九三条と九四条に記しました。住民自治とは、地方自治は住民の意思によって行われるべきだと言う理念です。団体自治は、地方自治は団体の意思と責任の下で行われるべきで、中央の従属でなく、独立した存在なのだと言うことです。
前号では、地方自治が民主主義の根幹と言われる住民参画、参加を育て、自立していく村民と共に、豪雪、多病、貧困の三つの大きな問題に取り組み、住民自身が地域を、そして行政を、地方自治を築いていく活動の中で、その軸となっているさわうち病院や保健活動を振り返りながら、今を問いかけてきました。
今号では、JA長野厚生連の佐久総合病院を軸に長野の農村、農民の命、暮らしに向き合ってきた活動を垣間見ようという試みです。医療という公共性の高い活動と事業を長野県内で築いてきたJA長野厚生連の活動に拡がっています。
「JA長野厚生連は、JA綱領のもとに医療活動を通じ、組合員・地域住民のいのちと生きがいのあるくらしを守り、健康で豊かな地域づくりに貢献します」と理念を示されています。
「JA綱領は、JAの組合員・役職員は、協同組合運動の基本的な定義・価値・原則に基づき行動します。そして、地球的視野に立って環境変化を見通し、組織・事業・経営の革新をはかります。さらに、地域・全国・世界の協同組合の仲間と連携し、より民主的で公正な社会の実現に努めます。このため、わたしたちは次のことを通じ、農業と地域社会に根ざした組織としての社会的役割を誠実に果たします。」
地方自治を守ること、医療や保健の公共性を守り発展させることは、社会福祉を守る運動と多々共通し連動しています。前号と今号の特集を通して、公共における健康で文化的な最低限度の生活を考えたいと思います (編集主幹)