《振り向いた私に、彼女は何か言って笑いかけたが、聞き取れなかった。 その長い、ひっつめられた髪の毛の向こうに空が見える。》 破壊と再生の物語。 連作《シュニトケ、その色彩》、その序章。 ベトナムを舞台に、異国で生きる日本人たちの肖像と、 貧しい少年たちの生のかたち、そして 日本を舞台にしたある奇妙な、外人だらけの右翼団体の暗躍を描く、 黙示録的な犯罪物語。