福祉のひろば 2018年8月号

福祉のひろば 2018年8月号

販売価格:440円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2018年07月25日
ページ数 PDF:88ページ
内容紹介

特集 「兄ちゃん、おおきに」神戸空襲と高畑勲に思いを馳せて

野坂昭如氏の短編小説を高畑勲監督がアニメーションに仕立て上げた『火垂るの墓』が上映されたのは、一九八八年。
一九四五年八月六日、広島に原爆が投下された。同じ日に、兵庫県の御影町・魚崎町・住吉村・本山村・本庄村(現神戸市東灘区)から、芦屋市を経て西宮市・鳴尾村(現西宮市)にいたる地域、いわゆる阪神地域が、一つの市街地目標として爆撃された。中小都市市街地への焼夷弾攻撃の一つに位置づけられる。空襲は、マリアナ基地から飛んできたB29、二五〇機によるものだった。
八月六日までの神戸への五回の空襲(神戸大空襲)で、八〇四三・四四トンの焼夷弾、破砕弾、爆弾が投下された。焼夷弾は、攻撃対象を焼き払うために使用。破砕弾は、爆発によって多量の鉄片が飛散し、人員を殺傷、機材を破壊する。爆弾は容器に爆薬を装填して信管を取り付けた兵器であり、爆風、破片、火災による被害が目的だった。
高畑監督は、「戦争末期の負け戦の果てに、自分たちが受けた悲惨な体験を語っても、これから突入していくかもしれない戦争を防止することにはならないだろう、と私は思います。やはり、もっと学ばなければならないのは、そうなる前のこと、どうして戦争を始めてしまったのか、であり、どうしたら始めないで済むのか、そしていったん始まってしまったあと、為政者は、国民は、いったいどう振る舞ったのか、なのではないでしょうか」と語っています。(高畑勲著『君が戦争を欲しないならば』二〇一五年、岩波ブックレット、p7)(編集主幹)