――あなたの過去を現在のごとくお届けできることを、わたしたち社員は大変光栄に思っております。まだ、間に合うかもしれません。グッドラック！！　みなさんの幸運を祈ります！！――現在社会で、充分に、ありうるだろう未配達のまま放置された膨大な郵便物と、それが届かなかったために、もしも、あのとき、と思い続けてきた不運な人々。その人々を島さち子は、会場へと誘っていきます。自分宛の過去の郵便を直接受け取らせるというおかしさ。肩にかかったまま、降ろせない郵便鞄、過去から届いたプロポーズ。浮世の明暗を乗せて過去たちは暴れまくっていきます。そして、ソラは過去を取戻すのです。でも、そのときは！！それでも、ソラは生きます。わたしは、泣きました。なんという作品なのでしょう！！　これが、島さち子最期の作品です。この研ぎ澄まされた感覚の初々しさを、ご覧下さい！！　これが、単なる文学作品では終らないことに、あなたも、お気づきになるでしょう。愛すべき魅力的作品です。