心に傷を負うまだ幼さが残る少年ルドルフ。
ルドルフは、愛がわからない。
小さい頃からいじめられ苦しめられてきた。
その理由は、ルドルフの体のいたる場所にできている黒い色素斑が原因だった。
そして、ルドルフには影が2つあった。
二重影。
人々はそんなルドルフを怖がり出来るだけ避けてきた。
それ故、ルドルフはいつもひとりぼっちだった。
9人兄妹の末っ子のルドルフは、いつも兄妹の輪に入りたかったが輪には入れずにいた。
遠慮があったからだ……
だから、何かある度にサンタに愚痴をこぼしていた。
サンタは、時に厳しく時に優しくルドルフ兄妹に接していた。
ルドルフたちは、トナカイと呼ばれるサンタを護る存在だった。
ルドルフたちは、サンタのことが大好きだった。
そんなある日……
ルドルフの目の前でサンタが、死んだ。
サンタは重い心臓の病気だった。
余命数ヶ月。
「ワシも次のクリスマスで、最後じゃな」
サンタのその願いむなしくクリスマスを迎える前に亡くなった。
クリスマスの前日だった。
サンタは、いつもルドルフに言っていた。
「愛って良いものだぞ。
お前にもそれを知る権利がある。
ワシが死んだあとは、お前に届屋の名を託そう」
ルドルフには、その言葉の意味がわからなかった。
そして思っていた。
嫌われ者の自分からプレゼントを貰っても子どもたちは、嬉しくはないだろう。
だから、サンタの死後、ルドルフはずっと家に引きこもっていた。
そして、4年が過ぎようとしたころ……
サンタとトナカイ宛てに一通の手紙が届く。
その手紙がルドルフの心を暖かくした。
このお話は、嫌われ者のルドルフが届屋として成長していく小さな物語。
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