さて、今回は、谷崎潤一郎の有名な『鍵』の「第三部」になるが、その内容は、次のようなものである。まず、夫(大学教授)は、大学病院の「眼科」と「内科」とで診察を受けるが、その結果、「血圧」が異常に高いということで、「血圧降下剤」をはじめ、コイトス(性交)を慎み、アルコールを止め、また、刺戟物や塩辛いものもいけないと言われるが、夫(大学教授)は、医師のその忠告を無視し、相変わらず「酒」と「淫慾」に溺れている。――やがて、娘(敏子)は、京都から少し離れた「大阪」に、母親(郁子)と木村の二人だけで出逢える「逢引き場所」を見つけてやることになる。――つまり、最初は、夫の「家」で、次は、娘(敏子)の「部屋」で、そして、今度は、大阪の「逢引き場所」へと「話」(ストーリー)は発展し、一方、夫の病状は目に見えて悪化していく。
そして、三月下旬から四月上旬までは、学校は「春休み」であり、それゆえ、木村の体も自由であるので、妻(郁子)と木村とはほとんど「毎日」のように、午後より外出。夕刻帰宅を繰り返しながら、まさに「大阪のいつもの家」で二人は「逢引き」を重ねていくのである。そして、学校が始まると、今度は、(学校の授業が終わる)午後四時半頃から、妻(郁子)は身支度をし始めてから家を出て、木村の所へと逢いに行くようになるのである。――そして、四月十七日の「日曜日」の夜、ついに、夫にその「瞬間(とき)」が訪れるという内容であり、興味や関心がありましたら、ぜひとも訪ねて見てください。
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