特集
社会福祉労働を未来志向でとらえよう
社会福祉事業を維持発展させる理由は、社会福祉対象の存在と、その対象の権利としての社会福祉、いわゆる人としての生活を営む保障を社会として誠実に達成させることに他なりません。しかし、目的と手段が入れ替わると、それは市場化路線となります。事業が儲けのため、配当のためのものと化し、福祉労働はそもそもの社会福祉対象の人権保障、人としての生活を営む保障のための労働ではなくなり、資本への従属と化してしまいます。
福祉労働や医療労働などの社会労働は、構造改革のなかで大きくゆがめられ、同時に経営基盤が市場化路線のなかで、国家がおこなう労働の評価(報酬として認める労働と認めない労働、あるいは、正当な労働評価を怠っている労働等)によって、その労働が人としての生活や健康に欠かせないことであっても、国家のさじ加減で現場の労働が構成されてしまいます。この基本的な国家の志向は憲法と乖離し、社会福祉労働や事業自身がこの志向に大きく影響を受け、福祉労働自身を貧困化へ導いていきます。
ところが、現場はそうはいきません。なぜなら、そこには人として生きたい、生きることが当たり前という当然の要求と権利が底流に流れているからです。この流れは自然に発生したものではなく、人類の歴史のなかで築き上げられてきた行為であり、思想です。この志向は、今の国家の志向とは対抗せざるを得ません。日々の福祉労働や実践は、この対抗のなかで一進一退のようにみえても、その営みは経験や知恵として積み重ねられていきます。同時に、「正当な」労働に近づける運動が欠かせなくなります。正当な労働とは何か、社会的存在であるべき福祉労働の評価は家庭を保持し、年代ごとの生活を保障できる暮らしができるという評価です。その基盤が成立しないと福祉への夢だけでは生きていけません。若者たちが社会福祉労働に、実践に向き合えるためにも、欠かせない運動となります。