特集
福祉現場に春風がやってくる!
『福祉のひろば』は、二〇一六年一二月号と二〇一七年一月号で、福島県の二つの高齢者施設を紹介しました。飯舘村のいいたてホーム(三瓶施設長)、そして、矢祭町の矢祭福祉会ユーアイホーム(金澤施設長)です。
いいたてホームは、福島原発事故後も施設で過ごさざるをえなかった人たちのために、事業を継続してきました。「生活を支え、生きることを共にする」職員の現実のきびしさをそこで目の当たりにしました。区域外からの通勤も、たやすいものではありません。なによりも、普通の社会から疎外された飯舘村のなかで過ごす入所者を支えるというプレッシャーは並大抵ではありませんでした。政策的には、東京電力の賠償による事業運営補助がありますが、それも時限制度です。
矢祭福祉会では、専門職が採用できないなか、無資格者を採用し、自前で養成して、資格を取らせるというきびしい状況をお伝えしました。このように現実に起こっている問題、それに対応する施設の試みは、「介護離職ゼロ」を掲げる政府の看板とは大きく乖離(かいり)しています。
今回座談会に参加した学生たちは、福島の若者たちと同じ年代です。彼ら、彼女らが、学校で学んだ福祉や介護、実習などの介護現場のなかで、人として向き合い、そこから考える姿に、明日の福祉を見る思いです。その若者たちが、現場で不安をかかえながらも、職員としてスタートします。多くの現場の先輩や現場を支えるみなさんの温かい支援を願うばかりです。
(編集主幹 黒田)