福祉のひろば 2017年3月号

福祉のひろば 2017年3月号

販売価格:440円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2017年02月15日
ページ数 PDF:88ページ
内容紹介

特集
第二一回社会福祉研究交流集会合宿研究会

 総合社会福祉研究所では、社会福祉研究の課題や方向性に関する「合宿研究会」を、毎年この時期に開催し、夏の研究集会の企画に生かしてきました。
 今回は三つのテーマを設定しました。「貧困問題研究の実相と課題」(丹波史紀さん)、「第二ステップの福祉産業化の行き着く先」(黒田孝彦さん)、そして「社会保障の公的責任論の今日的意義」(濱畑芳和さん)です。さらに「養成学校定員充足率の実態」を鴻上さん、「公的福祉論と社会福祉法人制度の見直し問題」を茨木さんに補足報告をお願いしました。ひろばでは概要報告にとどめ、研究紀要で全容を紹介します(研究紀要は電子書籍で無償閲覧することができます)。
 私からは、まず社会福祉研究を考えるうえで、「今、私たちがどういう地点に立っているのかを示すポイント」として四点を指摘し、討論を深めていただきたいと思います。


神奈川県津久井やまゆり園殺傷事件を社会福祉問題として考える(後編)

この問題、事件は、日本社会が世界のグローバル競争と社会保障の規制、抑制に追いやられてきたなかで起こった事件です。そんな社会で、希望を失わされていくと、誰にも優生思想のような歪んだ思想にとらわれる危険性のある社会になっているのだという警鐘を社会に鳴らした事件ではないかと思います。
 そもそも社会福祉現場は、人としての尊厳に共感し、体感していける現場であるはずなのに、今の社会福祉現場の労働や環境や、格差・競争社会の生み出すさまざまな困難さから、本来の社会福祉の価値の発見に至らない現実が私たちのまわりに広がっていることを見ていかなければなりません。その点で、この事件の検証や解明に真剣に取り組み、とらえていくことは、社会福祉と社会の再生の糸口をつかむことにつながる事件であると思います。