特集
2017年の社会福祉を語る ~2016年を振り返り、2017年を展望する~
国民生活から乖離(かいり)した政策に対して、孤立して暮らす多くの高齢者、保育所に入れずに路頭に迷う母子、あした暮らすお金もなく、生活保護からも排除される人たち、六五歳を境に障害から高齢へと規制と抑制される障害者。現象面に浮かぶ出来事の背景と真意を明らかにするために、それは、個人の責任ではなく、社会、国家の問題であることを。
国民の生活の叫び、願いを、常に科学的で鋭い政策批判と、その実態を、『福祉のひろば』は発信し続けます。
社会福祉現場で、生活問題や社会問題を背負っている人々に向き合い、寄り添う福祉労働者の存在は、今の日本で欠かすことができません。そして心ある社会福祉事業者の存在も大きな力です。それらの人々を励まし、その苦闘と福祉労働の醍醐味を『福祉のひろば』は伝え続けたい。
親たちが日々の生活と労働に疲弊(ひへい)しています。そのなかで、子どもたちが健やかにはぐくまれる地域や社会の存在が大切なのに、削ぎ落とされています。だからと言って、黙認するわけにはいかないのが、社会福祉であり、福祉労働者です。専門職と言われても、その社会的扱いは、その役割や価値から大きくかけ離れています。
昨年、保育や介護の人材不足問題が、かつてないほど高まりました。今も続いています。しかし、その世論や叫びが問題解決にまでは達していません。ある集会での発言です。
「川上から川下に、押し流された人が流れて来るのは私たちの施設」
「その人々と一緒にこの構造を、流れを、変えていくのも私たちの施設」
これは、運動だけではなく、主権者としての国民の豊かに生きる保障への実践であり、チャレンジだと受け止めました。
戦後、無差別平等、最低生活保障、そして社会保障の国家責任を、日本は決めました。その逆流を許さず、再構築する二〇一七年。その立場と、実践に! 『福祉のひろば』はがんばります。