特集 地方は生きている! その営みと暮らしからさぐる
国の歴史を贋造する国家が、地方の伝統や文化、そこで生きつづける人々の気持ちに、本当に向き合えるとは考えられない。
言い過ぎだろうか? 一極集中や都市と地方との格差(私は差別ではないかとさえ思っている)は、拡がるばかり。
効率や経済優先の新自由主義社会の構造的なしくみではないか。
今特集では、岡山県の奈義町と徳島県三好市の奥祖谷(落合集落等)の取材をもとに考えることにしました。
日本創生会議の増田レポートでは、二〇四〇年までに全国一七九九市区町村のうち半数の八九六市区町村が消滅する可能性がある、というショッキングな数値を打ち出しました。
しかし、過疎のなかには、実際に人口増加に転じた自治体があること。こうした主体的なとりくみが、今後増えることも指摘されています。地方創生は、規制緩和によってあらたな経済主体がビジネスチャンスを拡大することを意味しており、決して地域経済を現に担っている既存の中小企業や農家、協同組合の投資力を高めるところに焦点を当てていません。
だからこそ、「再生」という言葉を使わずに、ゼロからの出発を意味する「創生」という言葉をあえて使っていると、京都大学教授の岡田知弘氏は指摘しています。
奈義町、三好市の奥祖谷地域の挑戦や積み重ねは、特殊なものではありません。その地域に、住民に、自然に向き合ったとりくみと思えます。(編集主幹)