今回の特集は、大海から井の中を見てみようという試みだが、ここは、ただ単に大海から見るということだけでなく、そこからまた、井の中の真実も浮き彫りにならないかとのねらいもある。
最近おどろいたことに、国の財政審議会や規制改革委員会などで、「憲法の社会保障の『国家責任、最低生活保障、無差別平等の原則』は、アメリカが持ち込んだ考えで、日本独自の考えではない。日本が独自に、社会保障の考えを打ち出すときが来ている」という動きだ。
主権在民を否定し、さまざまな主権者としての国民の位置を実態と国家の枠組みから崩そうとしている。ましてや、昨年来の違憲の安保法制も根を一にする。
そういえば、元内閣法制長官の阪田(さかた)雅裕(まさひろ)さんは、「集団的自衛権を行使するということは、その敵となる国に、我が国を武力攻撃する大義名分を与えることになり、かえって国民を危険にさらす。抑止力は、アメリカによりいっそうの協力をしないと、いざというときに米軍が日本を守ってくれない、日米軍事同盟以上のことが発生する根拠が説明されていな
い。安保法制に基づいて行われる自衛隊の海外派兵が法律に適しているかどうか、我が国に必要なことなのかどうかを監視していかなければなりません。安保法制は、自衛隊の海外活動を義務付けているわけではなく、これから行うことができるというものです」(全国革新懇新聞)と発言している。
今回の、7月号特集の海外からみた社会福祉、国家責任問題は、そのようなねらいから企画した。(編集主幹)