『目がくらむほど見事なプラチナブロンド色の髪を、ヤンキー軍艦頭にした上、更にド派手なアロハを素肌に付けていた。オラ竜は、そんな異次元のファッションセンスに身を固めたキッチュなチンピラだった。』
ニューハーフが主人公のスーパーアクションって小説の世界じゃ珍しいと思うんだよね。
このニューハーフ、実は獣人っていうあたりがミソなんだけど、主人公の緒羅竜児は、獣人である自分を悲観して真人間に戻りたいと思ってるわけじゃなくて(と言うか弱い人間を馬鹿にしている)ただ、獣人化の果てに自分ではない「何か」に飲み込まれてしまう運命を否定してる奴なわけだ。
要するに、獣人化を促す自分の内に燃えさかっている膨大な生命エネルギーを、自分自身で完全に制御したい、つまり「俺は俺にとっての神様なんだぜ!」っていう精神の持ち主がオラ竜っていうことなのね。
とことん下品に書けば、永遠に続く射精感覚と絶対的な支配感覚を求めてる獣が、緒羅竜児ことオラ竜。
引き裂き、食らいつき、飲み下し、背後から犯す生き物。
しかし彼の行動原理は極めてシンプル、愛する者には不器用、共存できない他人とは常に一対一のサバイバル関係だけがあるのであって、その他の駆け引きは一切ない。
考えてみれば、これ程、女装の似合うダンディな男もいないだろうと思う。
今度の東南アジア某国の冒険では、ご自慢のヤンキーリーゼントでキメる機会も少なくて、地下迷宮をスーパービッチなスタイルで走り回っていたオラ竜だけど・・・いつかそのキンキンの軍艦頭を街で見せてくれよ、オラ竜。