江戸川乱歩の世界 ② 盲獣

江戸川乱歩の世界 ② 盲獣

状態 完成
最終更新日 2019年03月27日
ページ数 PDF:41ページ
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内容紹介

 さて、この作品の主人公「盲獣」という人は、ある明治の大富豪の一人息子であり、その父親の死後、恐ろしいほどの財産を手に入れ、そこで、一つの「念願」を起こすが、それは、まず、盲目の悲しさは、きれいな女性や美しい景色を直接見ることはできない。その境遇を憎んだが、どうなるものでもない。盲人の世界に残されたものは、音と匂いと味と触覚ばかりだ。音は吹き過ぎる風のようで物足りなく、匂いは人間の嗅覚は犬ほど鋭敏ではなく、食べ物はただ腹がふくれるばかり。そう考えると、触覚こそ、盲人に残された享楽であり、このたった一つの享楽にとりすがった。いろいろな物の中でも、生き物の手ざわりが一番楽しく、最初はいろいろな動物たちの手ざわりを楽しんだが、どんな生き物も人間の女性に及ぶものではないとはっきりとわかった。そこでいろいろな女性の手ざわりを楽しんだが、財産も少なくなり、最後は、五年と残りの財産を費やし、地下室に女性のあらゆる部分で出来たアトリエをつくり、半年間は、そこに入りびたってそれをなでまわして有頂天になっていたが、相手は死物であり、やがて生きた女性が恋しくなり、その頃、まさに「水木蘭子の噂」を聞きつけ、ここから、まさにこの「作品の物語」が始まるのである。

目次
奥付
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