日本の統治下で、日本人として育った
台湾人の楊 素秋さん。
台湾がかつて日本の植民地であったことも
忘れられつつある昨今。
台湾においてどのような教育を日本が行って
いたかを知ることで、凛とした日本人の姿が
浮かび上がってくるかもしれません。
「楊 素秋さんの証言」
私は修身の時間がとても好きでした。
一週間に一回の授業でしたけど、先生が本を読んでくれたり、
紙芝居を見せてくれたりして、偉人伝に基づく訓話を
たくさんしてもらいました。
例えば、楠木正成、二宮金次郎、宮本武蔵、吉田松陰、明治天皇、
野口英世、乃木希典と挙げればきりがないくらい。
これらの人物が艱難辛苦を乗り越えて立派な人に
なったという話を聞くたびに、感動してファイトが
湧いてきました。
それからよく覚えているのが、ある時担任の先生が
黒板いっぱいに大きな字で「公」と書いて、
そのすぐそばに「私」という字を
小さく書かれたんです。
何を説明しようとしたのか、お分かりになりますか?
──「私」というのを なるべく小さくして、
「公」のために生きなさいということでしょうか。
そうです。これがすなわち修身であると。
私事は小さくするのが国民の誉れであり、
それが国家と国民のあるべき精神だ
と教えていただいたんですよ。
それからもう一つ挙げるとすれば「教育勅語」ですね。
この中には「人間とは何ぞや」
「人間の果たすべき責任とは何であるか」
についての教えが説かれているでしょう。
人間の道理と学ぶべきことを これほどまでに凝縮したものを、
後にも先にも私は見たことがありません。
(上記文章は雑誌『到知』2016年3月号より引用しました)
楊さんたち日本語族の人たちが称賛する「修身」とはどんな教科書を
用いていたのを紹介していきます。
はじめに |
目次 |
巻一 |
第一課 学校 |
第二課 時刻を守れ |
第三課 友達は仲良くせよ |
第四課 行儀よくせよ |
第五課 整頓 |
第六課 きれいにせよ |
第七課 親の恩 |
第八課 親の言いつけを守れ |
第九課 兄弟仲良くせよ |
第十課 天皇陛下 |
第十一課 国語を勉強せよ |
第十二課 親切 |
第十三課 自分の物と人の物 |
第十四課 うそをいうな |
第十五課 過ちを隠すな |
第十六課 生物を苦しめるな |
第十七課 人に迷惑をかけるな |
第十八課 良い子供 |
巻二 |
第一課 天皇陛下 |
第二課 親を大切にせよ |
第三課 友達は助けあえ |
第四課 兄弟仲よくせよ |
第五課 行儀 |
第六課 清潔 |
第七課 飲食に気をつけよ |
第八課 根気 |
第九課 恩を忘れるな |
第十課 台湾神社 |
第十一課 公共物を大切にせよ |
第十二課 約束を守れ |
第十三課 正直 |
第十四課 欲張るな |
第十五課 規則に従え |
第十六課 自分のことに気をつけよ |
第十七課 よく働け |
第十八課 悪い勧めに従うな |
第十九課 よい子供 |
編集後記 |
奥付 |
奥付 |