特集
日本の社会福祉の贋造と中国・内モンゴルのソーシャルワークの挑戦
総合社会福祉研究所は、今年七月下旬に、中国・内モンゴル自治区呼和浩特(フフホト)の内蒙古師範大学や内蒙古財経大学との社会福祉国際研究交流を行い、高齢者施設、地域の社会福祉機能のひとつである社区の視察を実施しました。
この国際交流は、日本の社会福祉が問いかけられていることを浮き彫りにしました。
呼和浩特での人々の日常の生活は、日本の便利さやあふれる陳列商品にくらべれば派手さはありません。社会システムの効率化も進んでいるとは思えません。
だからといって、そこで暮らす人としての尊厳が、社会が薄れているのでしょうか?
呼和浩特では、都市問題として表出する人口の急速な集中と高齢化に対峙するため、生活を支えるソーシャルワークを担える専門家を大学が養成し、全地域への配置を準備しています。青年センターではたらく若者たちからは、活動への誇りと希望が出されました。労働者としての処遇も低くはありません。そして、大学で社会福祉やソーシャルワークを学ぶ学生たちが未来を語るのです。
まともに生活問題に向き合おうとする社会福祉現場の足を引っ張る日本の政策側が、福祉事業に市場化を持ち込もうとしている姿との相違を考えざるをえません。
八月二九日におこなった総合社会福祉研究所の会員の集いでは、日本で、社会福祉や社会保障の名でおこなわれる政策は名ばかりで、人として生きる権利保障や制度ではなく、贋造だと提示しました。社会福祉研究交流集会では、かろうじて暮らしている実態が報告されました。
権利としての福祉が問われるなかに、国家主権を目指す国家と国民主権の社会福祉との対抗を、内モンゴルでの交流からも学びました。