自らの身体を傷つけてまで少女が遺した血文字の遺書。
彼女は一体、最後に何を伝えたかったのか?
江戸でも名の知れた盗賊一味〝般若の喜助〟の娘結衣は自ら望んで引きこみとして大店美濃屋に入ることになった。
引き込みとは、押し込みに先駆けて商家に潜入し、盗みの手引きをする女のことをいう。
結衣は美濃屋の主人夫婦初め美濃屋の人々の温かな人柄に触れ、次第に自分のしていることに疑問を抱き始める。
そして、北町奉行所定町廻同心北山源一郎との運命の出逢い。
源一郎と晴れて両想いになった結衣に、美濃屋の若旦那作蔵かが不気味に囁く。
―私は綺麗なもの、美しいものが好きだ。だが、あまりにも美しすぎるもの、愛らしいものはこうして踏みつぶしてやりたくなるんだ。だが、安心するが良い。踏みつぶす前には、たっぷりと可愛がってやろう。この世の悦楽という悦楽を教え込んでやるから。お前は既に私の手に囚われた蝶だ。愉しみにしているが良い。
結衣に作蔵の魔手が迫る?
自らの生命と引き替えに大切なものを守り抜いた引き込みの少女の生き様を描く。
☆ 表紙イラストは
【フリー素材】*花集め② | 柳猫様 [pixiv] http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=54146888
より、お借りしています。リンク先は上記へ☆