人生には一見、理不尽かと思えるマイナスの出来事が多々、去来する。しかし齢八十八の老翁の視点からみれば、禍福はあざなえる縄のごとしで、すべての出来事が美しく辻褄が合うようにできている。まことに不思議である。今回はわたしの人生からその「不思議」なエピソードを取り出し、紹介したい。

結核に苦しめられたわたしは、病気で仕事を失うも、それが新たな転機となって自分にふさわしい仕事に就くことができた。それがＫ会計事務所での仕事である。病気は人生にとってマイナスだが、ときに人生を好転させることもあることを学んだのである。