前作『始まりの雪の日』より僅かの時が流れた、 一九五八年、春。坂本春花の誘いに応じ、獅士堂一家 に加わった雪絵は、組で多くの人と関わる。 『人形』と呼ばれた少女は、そうして少しずつではあるが、 己が『心』を作りあげていく。 雪絵と春花の二人の時間は、巡る季節と花々に彩られ、 彼女たちの心に何を生み、育むのか。 そして迎える『晤』の時に、雪絵は何を選択するのか。 これは、雪絵が愛を一身に受けた、僅か2年にも満たない時の、 心を彩る花々を追った史篇。