彼に出会ったのは、確か、小学五年生頃だったと思う。
比較的読書好きだった僕は、1クラス10人程度の学校の図書館の本を、節操なく読みあさっていた記憶がある。
その中の一冊が、彼について書かれていた本だった。
彼は探偵であり、助手のワトスンと共に、数々の難事件を解決していく。
いつも愛用しているパイプから、たなびく煙。
痩せて引き締まった、格闘技を身につけている身体。
頭脳明晰であり、冷静沈着な彼の推理と行動は、自分の中に深く擦り込まれている。
今、36歳という年齢であり、「シャーロックホームズ」以外にも様々な本は読んできたが、ふと思い返してみると、彼の頭の使い方や行動が基礎になっている事を感じてしまう。
彼に直接会った訳ではないが、本に書かれていなくても、彼とプライベートで会い、深い親交があったような錯覚を、少し覚えてしまう。縁のある本や物語とは、人に関わらず、それだけ強い何かを与えてしまうのかもしれない。
そういえば、最近、彼はどうしているのだろうか?縁があれば、近々会いたいものである。
シャーロック・ホームズの冒険 |