森の紫陽花(もりのあじさい)‐泉鏡花 現代語訳集別冊57

森の紫陽花(もりのあじさい)‐泉鏡花 現代語訳集別冊57

販売価格:40円 (税抜)
状態 完成
最終更新日 2016年09月01日
ページ数 PDF:6ページ
内容紹介

【あらすじ】

千駄木の森の夏は昼でも暗い。ここの森は必ずしも深いというわけではないが、周囲をぐるりと樹林に取り巻かれているため、そこに縱横に通っている蜘蛛の脚のような路は、ちょうど夕暮れ時に辿る木深い山路のようである。

その奥に住む友人の家の古井戸には、ちょっとした曰くがある。前にそこに住んでいた夫婦の妻の気が狂って、その井戸に身を投げて死んだそうで、今は朽ちた蓋がひったりと被せられ、その上に大きな石が置いてある。

が、これらは森のごく一面に過ぎず、他の大部分の風情はこれを補って余りあり、特に、夢で見るように美しいのは紫陽花である。

ちょうどこの花の咲き盛る時季のこと、初めて訪れようとした友の家を探しあぐねていた私は、自分の家のものらしい人力車に乗り、屈強な若い衆を供に連れた美しい婦人に出会った―

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