画の裡(えのうち)‐泉鏡花 現代語訳集別冊49

画の裡(えのうち)‐泉鏡花 現代語訳集別冊49

販売価格:44円 (税込)
状態 完成
最終更新日 2016年04月11日
ページ数 PDF:7ページ
内容紹介

【あらすじ】

「旦那様、絵描きぢゃとかいう者が参りまして、ちょっくら、はあ、お目にかかりたいと申しておりますでござります。」

その旦那は徐羣夫という田舍大尽、媚び諂いの連中を目の前に並べ、自分は上座にむずと座ってふんぞり返っている輩であろう。

時はちょうど、そんな客たちの寄り集まったところ。

「とかく夏が近づきますと、よくそういう蟲が湧くものでございますな。」「それも気晴らし、ちょっとここへ呼んで、冷やかしてやっては如何でございましょう。」

これらの客の言葉を受けて、徐大尽が「通せ。」と下男に言うと、やがて、旅の疲れで痩せ衰えた見すぼらしい男が、おそるおそるそこへ出て来た。

その男が、「未熟ではございますが、」と開いた大作に描かれていたのは楼台亭館。

それを一瞥した徐大尽、「わしの住居のように思えるの。ぢゃが、こんな風に門が閉まっておっては、まるっきり出入りもできまい。それにそもそも、わしが許さなければお主もここへは通れぬという訳じゃ。」

すると絵師はにっこり微笑み、「いや、拙い作ではございますが、我が手で描きましたもの、貴下のお許しがありませんでも、開閉は自由でございます。御免。」と言って、つッと膝を進めた。

すると…

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